私たちが日常的に使っている日本語の中には仏教から生まれた言葉が数多くあります。
【ありがとう】【大丈夫】【醍醐味】【我慢】【希望】【挨拶】【不思議】【幸福】【自然】【実際】【工夫】【玄関】などなど。
これらのふだん何気なく口にしている日本語もあれば、意外なことにあのユニークな語感をもつ日本語もじつは仏教由来であったりします。
【どっこいしょ】→ 仏教語「六根清浄」から
【うやむや】→ 仏教語「有耶無耶」から
【しゃかりき】→ 文字通り「お釈迦さまの力」
そして日本人なら誰もが慣れ親しむ【じゃんけんぽん】の掛け声の語源も諸説あるものの仏教が由来とされています。
その語源説になっている仏教語が〈料簡法意(りょうけんほうい)〉という言葉。「料」も「簡」もインドのサンスクリット語の漢訳で善悪、是非、正邪をはかり判断区別することをいい、仏教における「料簡」とは仏の教えを丁寧に学びとっていくこと、道理を推し量ること、問答によって詳しく論議することなどの意味があります。
そして〈料簡法意〉の後半の「法意」とはまさにお釈迦さまのお教えのこと、つまり〈料簡法意〉とはお釈迦さまのお教えをもとによく考えてみること、何かを決断するときには仏さまのお教えをもとにして間違いのない判断をすること。そのような意味になります。
重要な決断に迫られるとき、正しい答えをすぐさま引き出すことなど、もはや人間の能力の域を超えているといえます。そんなときはお釈迦さまのお教えにすがり、いかなる結果であってもそれを受け入れようと覚悟を決めて、そのお釈迦さまのご意思をあらわす方法として、その場にいるものが一斉に、
「料簡法意!」「りょうけんほうい!」「りゃんけんほい!」「じゃんけんぽい!」「じゃんけんぽん!」
現在の【じゃんけんぽん】に至ったという説があるようです。いざ、じゃんけんに臨むときの私たちの心境を思えば、とても納得させられる語源説といえそうですね。