〈お寺〉の境内で遊ぶ子どもたちを久しく見かけなくなりました。
外で遊ぶなら公園、公園よりも家でゲーム、少子化、危機管理社会など時代の移り変わりと共に失われた光景のひとつと言えそうです。
少年の頃、〈お寺〉は最高の遊び場でした。
中でも境内の灯篭を起点にする「かくれんぼ」は秀逸で、本堂の北側と南側、庫裏の東側の3方向から建物の裏手に展開して移動ができ、起点の近くには大きな庭石が2ヶ所と植え込みが1ヶ所、さらに釣鐘堂ともう一方の灯篭の裏側があり、北東の外塀に沿って移動しながらオニの様子がうかがえます。本堂の縁の下から階段の裏側にまわると節穴から境内が一望できるという裏技もありました。
「住職さんに怒られるよ」と言われそうですが、あれだけはしゃいでいて怒られなかったということは、住職さんはどこかで見ないふりをして見守っていたに違いありません。
寺社の普及と発展は、広く開かれたコミュニティの場であることに因った歴史を辿ります。
移り変わった令和の時代といえども境内から子どもたちのはしゃぎ声が聞こえる〈お寺〉でありたいものです。
〈 お寺〉にお参りに行かれたら、お子さん、お孫さんと一緒に境内の散策がてら少し「かくれんぼ」されてみてはいかがでしょうか。
住職さんは、やはりどこかで見ないふりをして見守っているに違いありません。