虹色の雲?

秋の爽やかな午後。外出しようと屋外に出たところで、ふと遠くの空を眺めてみますと、青く澄み渡った空に櫛ですいたような白く細い雲が見事な縞模様を描きだし、(綺麗な空だなあ)と、しばらく見とれてしまいました。

その日の夕方、知人からLINEが入り、「空を眺めてたら、〈虹色の雲〉を見つけたよ」と画像が送られてきました。どうやら家族や友人から「気のせいだ」「車の窓の反射だ」と否定され、誰も信じてくれないので、私に強く賛同をもとめている様子です。私も半信半疑でしたが、送られてきた画像を見て(これは〈虹色の雲〉に間違いない)と確信し、「信じるよ」と返信しました。

翌朝、ラジオを聴いておりますと、昨日の美しい秋空の様子が話題になり、(自分だけではなく、この地方の皆さんが綺麗な空だと感じていたんだ)と少しうれしくなりました。さらに気象予報士の方によると、秋空が青く澄んで綺麗に見えることには理由があり、夏は湿度が高いため空気中の水蒸気に太陽光が反射して空が白っぽく見える。春は黄砂などの砂埃や塵が多く飛んでいるため霞んで見える。つまり空気が乾燥し浮遊物もない秋と冬がもっとも青く澄んだ綺麗な空が見られるとのことでした。ではなぜ冬ではなく秋なのか?それは気象条件ではありません。寒く凍えてうつむきがちな冬と違い、気温や風が心地よい晴れた秋の日は心のゆとりや安らぎを得るため、上を向いたり遠くを眺めたりして綺麗な空に気付くのだろうと推測されてました。

一日の終わりに、本堂の阿弥陀様の御前に坐して、お顔を拝見するとき、少し目線は上向きになります。やがて合掌しお念仏を称えると、心にゆとりと安らぎが得られることがあります。そして上向き加減のまま振り返ると、開け放した扉の外には青く澄み渡った秋空が広がっている。そんなイメージでしょうか。

さらに、その秋空の中に〈虹色の雲〉を見つけることができた方は、より純粋な心の持ち主といえるかもしれませんね。

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