畑正憲さんが逝かれました。
2023年4月5日。享年87歳。
小説家、エッセイスト、ナチュラリスト、動物研究家、プロ雀士。愛称はムツゴロウさん。
経歴を拝見すると、東京大学理学部で動物学を学んだ後、株式会社 学研に入社して映画教材の制作に携わり、その後、動物関連のエッセイなどで作家デビュー、1971年に動物との共棲を目指して北海道に移住。とあります。この波瀾万丈なプロフィールからも察する通り、あまりに自由奔放な方だったために、周りの人達はかなりハラハラさせられたのかもしれませんね。
しかしながら、そうであってもムツゴロウさんからは、やはり多くの感動をいただいたと感謝しています。1980年12月からシリーズ放映されたテレビ番組「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」で観た、動物の出産や子育て、あるいは初めて知る動物の生態、そして笑顔のムツゴロウさんが動物たちとふれあう様子など、毎回楽しく観させてもらったものでした。
そんな「ムツゴロウとゆかいな仲間たち」の中で語られた、ムツゴロウさんの言葉があります。
『心を通わせるのに必要なものは、笑顔と強引さと、ある程度の自然体。』
必ず心は通うと信じて、動物たちを抱きしめ続けたムツゴロウさんの信念と覚悟が伝わってきます。〈心を通わせる〉という意味では、人と人とのコミュニケーションにおいても必要なものと言えるかもしれませんね。
さらに、
『一緒に生きた長い時間、共有したものそれがね、心の遺伝子になってるんですね。あらゆる命は繋がって続いていくものです。』
『本当の意味では、愛するものとの別れは別れではないのです。心の中に大きなプレゼントをもらっていて、思い出として私たちの中に生き続けるのです。決して断絶ではないのです。』
生物学者のムツゴロウさんが〈愛〉について語った言葉です。〈心の中の大きなプレゼント〉は〈ご恩〉であり、私たちの中に生き続けるのは〈感謝〉の心。親鸞聖人のお教えに通ずるものがありそうです。
やはり私たちは、本やテレビ番組を通して、動物たちとのふれあいを教えてもらった〈ご恩〉と、「よーし、よーし」と愛犬に頬ずりをしているムツゴロウさんの満面の笑顔を忘れることはありませんね。
合掌