今年の漢字

11月下旬、気の早いワイドショーが年末恒例となった「今年の漢字」の2023年大予想を取り上げていました。

「今年の漢字」とは、漢字一字を選びその年の世相を表す字として決定、公表する日本漢字能力検定協会のキャンペーンのひとつですね。例年11月1日からその年をイメージする漢字一字の公募を日本全国より行い、その中で最も応募数の多かった漢字一字を「今年の漢字」として12月12日の「漢字の日」に京都・清水寺において森清範 貫主の揮毫によって発表されます。

1995年からスタートしたこのイベントも現在では、「サラリーマン川柳」「ユーキャン新語・流行語大賞」と並び、その年の日本の世相を反映するひとつの指標でもあり、年末の風物詩としても定着しているようですね。

さて今年で29文字目を迎える「今年の漢字」。過去の28文字を一気にならべてみることにしますと、

震、食、倒、毒、末、金、戦、帰、虎、災、愛、命、偽、変、新、暑、絆、金、輪、税、安、金、北、災、令、密、金、戦

このような結果に。
やはり予想通り〈暗い〉イメージの漢字がより多く選ばれているようです。たしかに「今年の漢字」が発表されるニュース映像を観ながら、なんとなく物悲しい気持ちになった覚えは何度かあります。なにより一番悲しい事実は一般公募で私たち自らが選んだ漢字を改めて見せられて自ら落ち込んでいることかもしれません。人は一年を振り返るとき、悲しかったこと、つらかったこと、苦しかったこと、そういった出来事からすぐさま思い浮かべてしまう、それが人情というものかもしれませんね。

仏教の教えになぞらえてみますと、人は「苦」の中に生かさせていただいている。「苦」と共にある。ということは「苦」を嘆くことはあまり意味がないと考えるべきです。それならばありふれた日常のささやかな歓びを大いに謳うほうがはるかに良いかもしれません。周りの方からそれは「カラ元気」だと言われますが、「カラ元気」は周りに伝染する力があるので大丈夫なんです。

日本中が注目する「今年の漢字」だからこそ、「カラ元気」で良いので明るい一字で景気よく一年を締めくくりたいものですね。

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