あるご門徒の方から質問を受けました。
「阿弥陀さまとお釈迦さまは何が違うの?」
この疑問はごもっともなことで、たしかに仏像や絵画で見る阿弥陀さまもお釈迦さまも同じような容姿・身なりをしており、仏さまといえば呼び方が違うだけで皆同じだろうと思われている方も少なくないかもしれませんね。しかしながら質問の答えは、阿弥陀さまとお釈迦さまは全く違う仏さまということになります。
阿弥陀さまは阿弥陀如来、お釈迦さまは釈迦如来ともいいますね。この如来(にょらい)とは仏教の中で最高位の仏とされ「真理に目覚めた者」を意味し、修行の末に悟りをひらかれた仏さまたちの総称です。如来にはほかに大日如来、薬師如来などがあり、如来像の特徴として質素な修行僧の衣姿に頭上の大きなこぶと頭部にある多数のつぶ(螺髪)など容姿の共通点が多いことが混同される原因のようですね。
そして本題のまずはお釈迦さま(釈迦如来)について。お釈迦さまは2600年前のインドに生まれた仏教の開祖である釈迦(ブッダ)のことであり、如来の中で唯一実在した人物です。そのお釈迦さまが自身亡きあとも正しい教えを伝えていくために、「私の先生を紹介しよう」と私たちに教えてくだされたのが阿弥陀さま(阿弥陀如来)です。
阿弥陀さまは西方の極楽浄土の教主となり、今もそこで説法されているといわれます。さらに阿弥陀さまについては蓮如上人という方が、
「阿弥陀仏は十方諸仏(じっぽうしょぶつ)の本師本仏(ほんしほんぶつ)ですよ」
とわかりやすく解説しています。十方とは大宇宙を指し、大宇宙に現れている数え切れないほどの仏を十方諸仏といいます。お釈迦さまも大日如来も薬師如来も諸仏の中の一仏です。そして本師本仏とは師匠、先生という意味ですから、阿弥陀仏はあらゆる仏の先生であるということになります。このことからも阿弥陀さまとお釈迦さまの関係は師匠と弟子、先生と生徒にあたるといえそうです。
私たち浄土真宗の僧侶・ご門徒が、お寺やお仏壇の仏さまの前でお経を読むということは、ご本尊である〈阿弥陀さま〉の御前で〈お釈迦さま〉が説かれたお経を読むということになります。