日本に仏教が伝来したのは古墳時代、欽明天皇の御代の西暦538年のこと、最初に伝わったのは釈迦如来の仏像と経典だけだったといわれます。そして中国からもたらされた多くの経典を研究するために、当時の都・奈良に拠点がおかれ、飛鳥時代から奈良時代を通じて、法隆寺や東大寺、唐招提寺などが建立され、経典の研究のために生まれたのが「南部六宗」と呼ばれる6つの宗派で、この諸学派が日本仏教における宗派のはじまりとされています。そして平安期の天台宗、真言宗、さらには鎌倉期の浄土宗、浄土真宗、臨済宗などを含め、現在の日本仏教の根本となる13宗が生まれたとされます。
今回の雑学では『宗教年鑑 令和元年度版』のデータに基づく日本仏教13宗派のプロフィールを開宗年順に紹介してみることにします。
〈法相宗〉
(宗祖)道昭(開宗年)680年(本山)興福寺、薬師寺(寺院数)56(信徒数)約56万
〈華厳宗〉
(宗祖)良弁(開宗年)740年(本山)東大寺(寺院数)62(信徒数)約3万
〈律宗〉
(宗祖)鑑真(開宗年)754年(本山)唐招提寺(寺院数)28(信徒数)約2万
〈天台宗〉
(宗祖)最澄(開宗年)806年(本山)延暦寺(寺院数)3323(信徒数)約153万
〈真言宗〉
(宗祖)空海(開宗年)816年(本山)金剛峯寺(寺院数)3600(信徒数)約383万
〈融通念佛宗〉
(宗祖)良忍(開宗年)1117年(本山)大念佛寺(寺院数)357(信徒数)約10万
〈浄土宗〉
(宗祖)法然(開宗年)1175年(本山)知恩院(寺院数)6894(信徒数)約602万
〈臨済宗〉
(宗祖)栄西(開宗年)1191年(本山)建長寺、妙心寺(寺院数)5674(信徒数)約115万
〈浄土真宗〉
(宗祖)親鸞(開宗年)1224年(本山)東本願寺、西本願寺(寺院数)18644(信徒数)約1540万
〈曹洞宗〉
(宗祖)道元(開宗年)1227年(本山)永平寺、總持寺(寺院数)14525(信徒数)約340万
〈日蓮宗〉
(宗祖)日蓮(開宗年)1253年(本山)久遠寺(寺院数)4660(信徒数)約356万
〈時宗〉
(宗祖)一遍(開宗年)1274年(本山)清浄光寺(寺院数)411(信徒数)約5万
〈黄檗宗〉
(宗祖)隠元(開宗年)1661年(本山)萬福寺(寺院数)450(信徒数)約7万
こうして比較してみますと親鸞聖人が開宗された私たち浄土真宗が寺院数、信徒数ともに数多いことがわかります。その理由の一つには平安時代末期から鎌倉時代にかけての戦乱と天災で世の中が乱れた困難な時代を背景に、親鸞聖人のお教えが多くの一般庶民に受け入れられたことがあるようです。