海外でもそのまま通じる日本語というものがあるようです。〈samurai(侍)〉〈sushi(寿司)〉〈fujiyama(富士山)〉などは有名な例ですね。そして近年では日本人の精神や考え方を表す言葉も世界共通語として広く知られるようになり、代表的な例が〈mottainai(もったいない)〉〈omotenashi(おもてなし)〉など。そしてこの言葉もどうやら世界に通じる日本語の一つとして認知され始めているようです。
〈ikigai(生きがい)〉
〈生きがい〉という単語を国語辞書で調べてみると【生きることの喜び】【生きる価値】といった意味があるようです。そしてこの日本語を英語で表現するのはさらに難しく【purpose in life】直訳すると「人生の目的」という表現をはじめ、さまざまな英訳がされるようですね。つまりは国や地域の文化の違いはもちろんのこと、突き詰めれば個人の価値観の違いでどのようにでもとらえることのできる得体の知れない言葉ともいえそうです。
ちなみに内閣府のホームページに「生きがいを感じる時」というアンケート結果が掲載されており、
・孫など家族との団らんの時
・趣味やスポーツに熱中している時
・仕事に打ち込んでいる時
・旅行に行っている時
・テレビやラジオを視聴している時
日本人の〈生きがい〉の上位はこのような結果になっているそうです。
さりとて「あなたの生きがいは?」と突然に問われても、とっさに答えられるものではありません。私の生きがいは何だろうか?と自問自答して答えが見つからないことで落ち込むこともあるかもしれませんね。しかしながらそれは当然のことであり落ち込む必要など一切ないともいえます。
仏教のお教えに照らしてみますと、【生きることの喜び】だけを得ることができれば豊かな人生かといえば決してそうではありません。喜びとともに悲しみも、楽しさとともに苦しみもあるのが人生の醍醐味。それらを通して私は今日も生かされていると感じるとき、人は〈生きがい〉に満ちあふれているといえるかもしれませんね。
〈生きがい〉がないと嘆く必要などありません。むりやりに〈生きがい〉を求める必要もないといえそうです。