還暦を過ぎまして、中高年にも磨きがかかってきた昨今、ますます何か「新しいこと」でもはじめてみたいものだなと感じていた矢先。親しい知人があるアーティストのライブに行ってきた様子を話してくれました。
そのアーティストは中村耕一さん。バンド元JAYWALKのメンバーで『何も言えなくて…夏』などのヒット曲を作詞作曲したシンガーソングライターですね。そのライブは愛知県江南市のライブハウスで50人ほどの観客を入れ、中村さんのギター演奏のみで行われた小規模なもので、ごく至近距離、知人の目の前で中村さんが歌い上げるという贅沢なステージだったそうです。
「よかった、よかった」と興奮気味に話す知人によると、『何も言えなくて…夏』『君にいて欲しい』『JUST BECAUSE』などバンド時代の名曲も歌ってくれたそうで、かつてのJAYWALKを知る世代にとってはなんとも羨ましい限りのステージだったようです。すると知人が「なんだけど…」と切り出し、続けて、
「中村耕一さんが他に歌ってくれた新しい曲がとても良かった」
とのこと。この言葉にはハッとさせられました。かつての名曲を生歌で聴けたことの歓びよりも、今まで知らなかった中村耕一さんのもっと素晴らしい歌と出会えたことがうれしいんだと彼は言います。よくよく考えれば『何も言えなくて…夏』を書いた才能がそこで立ち止まっているはずがありません。73歳になる中村耕一さんは今もなお「いい曲」を作り続けている。聴こうとしなかった、聞く耳を持っていなかった自分に気付かされたと知人は言います。まったく私自身も同感です。
「新しいこと」始めたいな…などと言いながら、じつは新しいものを受け入れる気もなかった自分に気付かされた出来事でもあります。